〒157-0061 東京都世田谷区北烏山5丁目2-21
ITサービス業である会社にあって、当該事業部はICTインフラ基盤サービスを提要している。
ネットワークインフラ、サーバ基盤、データベース基盤などインフラ基盤全般を提供しており、近年はクラウド化を推進している先進的な事業部である。
ここ数年、入社5年目以内の若手技術者の退職者(転職)が急増している。毎年3名程度が退職する。このままでは人材開発計画が達成できず、技術ノウハウの継承、管理職育成がままならない。事業に大きな影響が出る可能性があり、退職者を減らしたい。
狙い
退職に至る原因の調査と中堅クラス社員を交えたディスカッションを通してて解決策を検討するプロジェクトを立ち上げた。管理職だけではなく、若手社員と直接接している中堅社員と検討することで、より具体的で効果的な対策の立案を目指す。
①お客様の問題認識ヒアリング、
解決の方向性などヒアリング
(課題認識)
若手社員の退職理由は
・技術職で採用されたにも拘わらず見積りや契約管理など間接業務が多く、技術的な作業が行えない
(アウトソーシングを推進していることも要因)
・技術力が持てないと今後PMなどできる自信が持てない
原因分析の結果、「技術職で採用されたにも拘わらず技術的な作業が行えない不満と将来への不安」、
「マネジメント業務の多さによる不満」を解決する必要性がある。
(解決策)
以下の3本の実行施策で解決する
①技術的な経験を得られる機会の創出
・外部委託業務の一部技術的作業を内製化
・研究開発業務への計画的若手アサイン
・経験の場を事業部全体で管理しチームを跨った業務アサインを可能とする
②技術的な経験を積むための時間の捻出
・組織内に事務作業を一元的に受けるチームを集約し、若手の事務作業を移管
③組織内の縦横斜めのコミュニケーションの活性化
・1on1ミーティングの実行サイクルを改善し、短時間短サイクルに変更
・直属上司ではない先輩との1on1を企画し、不満を話しやすい環境を作る
・小集団活動を活性化し事業部横断的かつ世代間の協業環境を作り相談できる相手を社内に作ることで
風通しの良い組織を醸成する
(定量的効果)
社員3人/年の退職に対し、中途採用を行っているがその手数料がかからなくなり、今回の活動にかかるコストは
充分に回収できる。
●中途採用1人当たりの人材紹介会社への支払い金額
理論年収(給与+賞与)は25歳の業界平均年収で400万円程度
手数料率30%を支払っており(紹介会社によってばらつきあり)120万円/人
3人の中途採用をした場合、人材紹介会社に360万円を支払う
●今回のプロジェクトコスト
内部コスト:社員10名が10回の会議に参加し2時間稼働 計200時間
時間単価3,000円で計算すると 60万円
外部コスト:弊社へのフィー 30万円×3か月 90万円
合計 150万円のプロジェクト実行費用が発生
150万円のプロジェクト費用で最大360万円/年の無駄なコストを回避できる
但し、効果は単年度ではなく長期に発生するため、コスト削減効果はさらに大きいものと計算できる。
1名の退職を回避するだけでもペイできるのではないか(お客様談)
(定性的効果)
退職を防止できるだけでなく副次効果として、技術的なノウハウの向上により新たなサービス企画や品質改善に効果が
出ることが予想される。
また、組織内のコミュニケーションの活性化、円滑化が期待され働きやすい職場環境が醸成される。と同時にリモートワーク下におけるコミュニケーションロスの防止にもつながる。(お客様談)
具体的な成果が出るのは来年度以降になると思うが、
今回のプロジェクトを通して、中堅社員が人材管理に意識を持ってくれただけでも大きな成果だと思う。